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ZINEを作ろうと思った人にはわかると思いますが、カラー印刷と白黒印刷では、印刷代がまったく違います。まずは、この現実から始めたいと思います。
今回はその白黒印刷にスポットを当ててみます。白黒は「安価だから選ぶもの」ではなく、スタイリッシュで洗練されていて、奥行きをもたらし、想像性をひらきます。
いまの時代には、むしろ新鮮に映る美学かもしれません。Studio Vista の本に収められた1960年代のテレビタイトルは、まさに白黒印刷の美学と地続きにあります。
紙の上で構成された抽象図形、強いコントラスト、手作業の痕跡、余白の扱い。これらは、白黒印刷の紙面でこそいちばん鮮やかに姿を現します。クリエイティブな冊子を作るうえで、今回のテーマと、この Studio Vista はとても相性が良いと感じます。
1960年代の英国テレビは、白黒からカラーへ移行する途上にあり、タイトルデザインの多くは黒と白だけで構成されていた。その“映像のモノクロ”が、紙の上で美しく立ち上がっています。
その潔さが、いまのZINE文化や白黒印刷の紙面と静かに響き合います。
この本の魅力は、図像だけではありません。文字の置き方、行間の取り方、余白の扱い──どれも、いまのインディペンデント出版が好む「紙の美学」と地続きにあります。
1960年代のテレビタイトルは、映像のために作られたデザインでありながら、完全に紙の論理で構成されています。タイポグラフィは必要以上に語らず、ただそこに“置かれている”だけで成立しています。その控えめな文字の佇まいが、抽象図形の強さを邪魔せず、むしろ画面全体の洗練を静かに支えています。
ページをめくると、英国のスパイドラマが黄金期を迎えていた時代の空気がふっと立ち上がります。「THE AVENGERS」の鋭い構成、「PUBLIC EYE」の大胆なタイポグラフィ、「UNDERMIND」の分解と再構成。どれも、モノクロの紙面でこそいちばん強く立ち上がる造形です。モノクロの図像と、簡潔な文字。この組み合わせは、ZINEの白黒印刷にそのまま持ち込めるほど完成度が高いと感じます。
半世紀前のテレビタイトルが残した断片は、いまの時代にこそ新しく見える。抽象図形、強いコントラスト、紙で考えられた文字の配置。どれも、現代の表現がそっと触れたくなる“未完成の素材”として息づいています。
*約198×161㎜の小さめの判型で作られている本です。
*背表紙、表紙にわずかな汚れがあります。
*古書店のシールが一枚残っています。本が辿ってきた時間の痕跡として、そのままにしています。
*何冊買っていただいても同じ送料です。(いちばん大きなサイズが適用となります)
編集 Roy Laughton
出版社 Studio Vista/Reinhold
出版年 1966年
サイズ 198×161㎜ ソフトカヴァー版
総数 94ページ
状態 B
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